ブレーキ豆知識 交換促進ペーパー
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第20号掲載
今回はパッドに装着するシムにつての豆知識です。
片側のパッドに1枚付いていたり、全てのパッドに2枚ずつ付いていたり種類は様々です。ですがその種類と組み合わせには車両に合わせて実験を繰り返して決められていきます。枚数が少ないから悪い、枚数が多いから良いというわけではないのです。

さてよく見られるゴムコートシム(黒いシム)とステンレスシム(銀色のシム)のそれぞれにはどの様な役割があるのでしょうか?

答え


シムはダンパー効果で鳴きを抑制する効果があります。

ゴムコートシムは振動を吸収しその効果を高める役割をしています。ステンレスシムはゴムコートシムを直接500kg〜600kg(通常制動時)で押すとゴムめくれで効果が薄れるため、効果を持続させるための保護を役割としています。

長穴があいているシムはその穴部分にグリス溜めをしてグリス効果のライフを長くしています。

使用する際の注意点は変形しているとスプリング作用でパットをローターに押し付け片減りや早期磨耗、ジャダーを起こす要因となります。このような時は交換をお勧めします。

第19号掲載
ブレーキパッドの交換時期について、点検時に半分以上の摩耗が確認されたら交換をお勧めしますと皆様にアナウンスさせて頂いておりますが、半分あれば… と思ったりしませんか??

さてここで問題です!!
何故、半分の磨耗での交換を勧めるのでしょうか??

答え


月に1度点検されるなどまめな方であれば、ギリギリまで使用し、交換されてもよいとおもいますが、通常、車を使用されるお客様は点検をなされるサイクルは大体1年周期かと思われます。
新品状態から半分摩耗するまでの使用期間・距離と、半分摩耗状態から摩耗しきってしまうまでの使用期間・距離は短くなるケースが大半です。

※熱の影響等により新品時に比べパッドが摩耗し易くなる為です。

安全を考え、早め早めの交換を勧めします!!

第18号掲載
小寒を過ぎ、冬真っ盛りになりましたね!
雪の季節、路面も冷えていますし、日陰に入れば時には凍っている事も・・・ そんな時にブレーキを掛けて「止まらない〜」という経験をされた方もいらっしゃると思います。

ここで問題!

車両を止めるために必要不可欠な要素とは何でしょう? 「車両を止める」のはブレーキだけではありません。

答え


車両を停止させるため、最終的に制動力を路面に伝えるのは『タイヤ』です。
どんなに摩擦係数の高いブレーキパッドを使おうと凄〜いキャリパーを付けようと、最後の最後にクルマをとめるのはタイヤと路面の抵抗です。
経年劣化によりプラスティックのように硬化してしまったり、磨耗してしまったタイヤでは確実な制動力は得られません。

みなさん、ブレーキはもちろんのこと、季節柄、足回りの点検を定期的に実施しましょう! また路面の状況(雨、雪、氷)を把握し、くれぐれも安全運転を心がけて下さい!

第17号掲載
冬場、になると路面凍結防止の為に散布される融雪剤。これによる車両の錆問題は毎年春先になると多々耳にしますが、サビ防止や、泥汚れを落とすためのスチーム洗車や高圧洗車は時としてブレーキに悪影響を及ぼす事があります。

さて、せっかくきれいにするための洗車なのにブレーキに与える影響とは何でしょうか?

答え


冬場は部品の天敵である錆を防止するため、ローター表面、ブレーキの表面についた融雪剤、泥などをスチーム洗車や高圧洗車で洗い流すことは大切です。

ただし、高圧・高温の洗車は車に必要な油分を洗い流す程の力があります。ブレーキキャリパも摺動部のゴムブーツなどにはグリースが塗布されていますので直接当てるとこのグリースが溶けて流れ出したり、ゴムブーツが水圧でめくれて防水効果を果たさなくなる場合すらあります。

油分がきれてしまえばブレーキをかけた時摺動部の抵抗は増す事となる他、錆の原因になれば最悪は摺動部が固着してブレーキの機能を果たさなくなる可能性もありますので、洗車の際は摺動部のゴムブーツなどに直接当たらないように注意することが必要です。

そんな事に成らないようにお客様には定期的な点検をお勧め下さい。

第16号掲載
いつも取扱って頂いているディスクブレーキパッドですが、よくよく見ると摩擦材のところにスリット(溝)があるものと無いものがありますね。大部分のディスクパッド表面には中央部にスリットが入っています。別に材料をけちっているわけではありません。何の変哲もないただの溝ですが、この溝がブレーキにとって大変重要な役目を果たしています。

さて、これは何のためと思われますか?

答え


スリットはブレーキ鳴きの防止やパッド部を分割する事によって初期当たりを良くする効果がある・・・という事です。

もちろんカーメーカーの考え方でスリットのないものもありますが。リヤーパッドはブレーキの負荷や面積が小さいなどフロントに比べてスリットは少ないようです。全車種から見てみますとフロントで約80%の車種、リヤーは約30%の車種にスリットが施されています。

パッドやロータの摩耗粉は鳴き要因の一つと考えられるためロータとパッドの摺動面に介在する摩耗粉をスリット部で掻き落としブレーキ鳴きや振動を軽減している訳です。一部に斜めにスリットがあるのも見られますがスリットがある車種全体からすると約3%です。斜めスリットは鳴きと言うより低周波の鳴きに効果があるようです。

ブレーキ鳴きで来られたお客様には、スリット部に摩耗粉や泥が詰まっていないかの点検・清掃や、早めのPAD交換の提案をお勧めします。
第15号掲載
定期点検や車検で入庫した車のブレーキを点検したところ、通常はアウター、インナーともにほぼ同様に摩耗して行くはずが、なぜかパッドのアウターとインナーで摩耗に大きな差がついていることがありませんか?

この現象は何故おこるのでしょうか?

答え


要因としては、パッドの摩耗が多い側のキャリパ本体に何らかの問題があることが考えられますので、キャリパ本体の点検が必要です。ピストンやスライドピンの動きに何らかの不具合が生じているかも知れません。ピンブーツやピストンブーツが破れて錆などが出ているケースも考えられます。

このときパッドのみを新品に交換しても、また同様な現象となる可能性が高く、再度の交換、あげくの果てにクレームとなることも想定されます。

お客様にとってはパッド交換の他にキャリパの部品交換となると整備料金が高くなり交換を迷われるかもしれませんが、今起こっている状況をよく説明をして頂き、今回キャリパの部品交換も一緒に行った方がお徳であることを提案し、理解して頂くことがお客様のためになるかと思います。
第14号掲載
最近、燃費の向上や環境問題から盛んにクルマの軽量化がおこなわれています。

軽量化の観点からいうと通常使われている鋳鉄のディスクローターにアルミ材質が採用されてもいいと思いますが技術的に難しい課題があるでしょうか?

答え


確かにディスクローターをアルミ材質にするとバネ下重量が軽減されクルマの乗り心地、燃費の向上、タイヤと路面の追従性がよくなることが期待できます。

しかしアルミは柔らかく200℃を超えると急激に強度が落ちてしまうために、セラミックス等の粉を混ぜたアルミ合金として一部のクルマに採用されたことがあります。又表面にコーティングしたものも一部あるようです。普通鋳物に比較すると耐熱性がまだ今一であり、価格も高いために実用化には更に時間が必要となると思われます。

もしローターがアルミになっても摩擦すると言うことは摩耗すると言うことです。鋳物ローター同様に摩耗限界がきたら交換しないとひびが入ったり、最悪ローターが割れることもあります。

ローターは消耗品です!
定期的に厚みを測って、限界がきている場合は早めの交換を奨めします。傷んだローターではパッドの性能も100%発揮することは出来ませんので。
第13号掲載
『フェード現象』とは、高速走行時や山間部でのブレーキイングの繰り返しによりローターが高温になり、またディスクパッドも加熱され、ブレーキの効きが低下してしまう現象をいいます。ディスクパッド(摩擦材)の高温劣化(摩擦材は高温になると材質の成分が“ガス化"してしまうのです)が原因です。フェード現象がずーっと続くと、ブレーキはもっと効かなくなってしまい大変危険です。

そこで問題!
大きな水溜まりを走行した時などにもブレーキの効きが悪くなったことはありませんか?これはどうして起こるのでしょう?

答え


ブレーキパッドは水分を吸収する性質(熱伝導・鳴き対応として気孔を含んでいます)をもっているため、大きな水溜りを走行した時などに水分を吸収してしまうことがあります。制動時にローターとパッド表面にパッド内の水分が出てくる水循環によってブレーキの効きが低下するため、止まりたいところで止まれないという事態が発生してしまいます。この現象を“ガス"で起こる『フェード現象(熱フェード)』に対し、『ウォーターフェード』と呼んでいます。

対処方法は、熱フェードの場合は一旦クルマを止めてブレーキを冷却します。ウォーターフェードの場合は、熱フェードの場合とは逆にスピードを落とし、ブレーキを軽くかけて出来た水膜を取ります。大きな水溜りなどに入ってしまった場合は、低速で10回位ブレーキを連続して踏んでブレーキを乾かしましょう!
第12号掲載
ブレーキを踏むことによって車体へ伝わってくる振動…、このブレーキジャダーと言われる不快な現象を体験したことがある方は多いのではないでしょうか?ひどいときは車が壊れたのかと思う位にブルブル振動する事もあります。一般的には高速から強いブレーキングを行った時に起きやすく、車輪の回転と同じ周期で発生します。

さて、ここで問題!!
この嫌なブレーキジャダーは、どうして発生してしまうのでしょう??

答え


ブレーキジャダーはブレーキ力の変化が、車体の共振へつながり振動となって現れてくる症状です。ブレーキ力の変化の大元となるのが、なんと数十ミクロンのロータの歪み・肉厚差や摺動面状況です。それらの発生要素は大きく3つあり、熱・摩耗・錆です。雪国では特に冬場の雪や融雪剤などの外的要因を受けやすく、特に週末のレジャーのみに用いている方(俗に言うサンデードライバー)に多くみられます。

ブレーキジャダーが発生してしまった場合はローターの研削・交換をお勧めします!!


ロータ研削をする場合は、有効厚に気を付けましょう!(有効厚みはローターに刻印または鋳出しで書かれています。使用限度以下まで研削するとローター自体が割れる可能性があります。)

第11号掲載
電子式の診断機や便利な工具が増えてきていますね。
ブレーキ関連ですと、やはり診断機・ブレーキフルード交換機などがあります。

さてここで問題です!!
ブレーキフルード交換機、使用される際ポイントとなるのはどこでしょうか?

答え


フルード交換機は、人の足・圧送式・真空充填の3種類あるかと思います。

後ろ二つについては、エアーツールで、使用される際、充分に注意いただきたいのは、”圧力”です。

各機械の説明書にあります圧力値を大きく外れた状況で使用されますと、機械のみならず、車両側・ブレーキへ支障をきたすことがあります。

特に真空充填式ですと、マスターシリンダやホイールシリンダカップがめくれてしまい、ブレーキフルード漏れを起してしまう等、便利なツールも使い方ひとつで危険なツールになってしまうのです。

使い方に注意しながら、ツールを上手に活用して、お客様に安全・安心をお届けしていきたいものです。