ブレーキ豆知識 交換促進ペーパー
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第40号掲載
自動車に使われている鋳鉄製のディスクキャリパーの色は、以前は深緑色や金色をしていました。ところが数年前からは、ほぼ全てがシルバー色に変わっていることにお気づきですか?

さて、何故色が変わったのでしょうか?


答え


メッキ処理の際に使われるクロムという物質を変更したからです。

鋳鉄製のディスクキャリパーの表面には亜鉛メッキという防錆処理を施していますが、防錆性を向上させるために、亜鉛メッキの上にクロムを使った「クロメート処理」というものを行ないます。

クロム原子には本来24個の電子が含まれていますが、6個の電子を失ったものが存在することが可能です。これが6価クロムであり、以前のクロメート処理にはこの6価クロムが用いられていました。しかし6価クロムには失った電子を他の物質から奪い取ろうとする強い力があり、体内に侵入すると、細胞や体内ホルモンに損傷を与え、ガンの原因になります。この様に6価クロムは毒性が非常に強い為に使用が禁じられた為、3個の電子を失った3価クロムに切り替わりました。3価クロムは非常に安定した物質であり、無害です。

6価クロム使用時には色のあるクロメート処理(有色クロメート)が可能でしたが、3価クロムではシルバー色しか出来なかった為、ディスクキャリパーやその他の亜鉛メッキを施していたボルトなどの子部品もすべてシルバー色に切り替わりました。

なお、水に溶けた6価クロム化合物は有害ですが、メッキされたクロム金属そのものは安定した物質なので有害ではありません。つまり製品が有害なのではなく、メッキ処置工程中に使用される6価クロムが有害ということですので、ちょっと古い車両で深緑色や金色のディスクキャリーが装着されていても、全く無害で問題ありませんの御安心下さい。
第39号掲載
「インチ」という長さの単位は、クルマ関係のお仕事をされている方ならよく耳にすると思います。代表的なものではタイヤやホイールのサイズで「17インチホイール」とか「19インチタイヤ」などがありますね。さて、このインチという長さの単位ですが、ブレーキ関係でもこのインチをベースとして設定されている寸法があります。

それはどの部分でしょうか?


答え


ブレーキでは、ディスクブレーキのシリンダ径やドラムブレーキのホイールシリンダ径、ブレーキドラムの直径がインチをベースとしています。
インチとはヤード・ポンド法で定められる長さの単位であり、1インチ=25.4mmとなります。ちなみに1インチは1フィートの12分の1、1ヤードの36分の1となります。(つまり1フィートは25.4mmx12=30.48cm、1ヤードは25.4mmx36=91.44cmになります)

例えば軽自動車クラスのフロントディスクブレーキのシリンダ径には
Φ50.8が用いられているものがありますが、これは2インチサイズとなります。Φ228.6の直径のブレーキドラムは9インチサイズとなり、シリンダ径Φ15.87のホイールシリンダは5/8インチサイズとなります。

日本では基本的にメートル法を用いるので、mm(ミリメートル)で示すと非常に半端な数値となりますが、もともと自動車は欧米から伝わってきたものなので、当時欧米で長さの単位として用いられていたインチサイズが、未だに慣習として残っている、という訳です。

インチやフィート、ヤードといった単位はクルマ以外でも様々なところで使われます。ゴルフで使われる距離の単位はヤードであったり、飛行機が飛ぶ高さはフィートであったり、テレビの画面サイズでは32型(画面の対角長さが32インチ=81.28cm)などと表現されたりしています。

インチをmm(ミリメートル)やcm(センチメートル)に換算してみると、今まで何となく口にしていたサイズが具体的にイメージできる数値になると思います。まずはご自分の愛用しているジーンズのウエストサイズ(インチで表示されています)をcmに換算してみて、最近気になりだしたお腹まわりのサイズを再認識してみてはいかがでしょうか?
第38号掲載
サーキットでスポーツ走行を楽しんでいらっしゃる方は、1度くらいは 「ブレーキがフェードして止まりきれずに危なかったよ〜!」というような会話を耳にしたことがあると思います。

フェード現象は第36号でその発生メカニズムをご説明しましたが、フェードと並んでもうひとつブレーキが効かなくなる現象があります。

それはどう言った現象でしょうか?


答え


まずおさらいとしてフェード現象の発生メカニズムですが、フェードはブレーキパッドが高温になった際に、ブレーキパッドを固めているフェノール樹脂という成分が熱分解し、そのときに発生するガスがパッドとロータの間に介在することによって、ブレーキパッドがロータから浮いたような状態となり、ブレーキの効きが下がる現象です。

そしてブレーキが効かなくなるもう一つの現象が「ベーパーロック」という現象です。ベーパーロックとは、ドライバーがブレーキペダルを踏んだ力をディスクキャリパやホイールシリンダに伝える為のブレーキフルード(ブレーキ液)が、高温によって沸騰し気泡が発生する現象です。気泡が発生するとブレーキペダルを踏んでも、気泡をつぶすことにブレーキペダルのストロークを食われてしまい、ブレーキフルードに圧力が発生せず、結果、ブレーキが効かなくなります。

ブレーキフルード内に空気が混入している場合にも似たような状態となりますが、空気は押しつぶされる時に反発力が生じるので、多少なりとも圧力が発生し、少しはブレーキの効きは出ます。しかしベーパーロックによって生じた気泡は、沸騰して発生した蒸気の気泡であり、この蒸気の気泡は押しつぶしても反発力がほとんどない為にブレーキフルードに圧力を発生させることが出来ず、ブレーキが全く効かなくなります。ベーパーロックはブレーキペダルが床に付くまで踏み込んでも全くブレーキが効かなくなる大変危険な現象です。

ブレーキパッドが薄くなるとロータとの摩擦面で発生した熱をブレーキフルードに伝えやすくなりベーパーロック起こしやすくなりますし、ブレーキフルードも古くなって劣化すると沸点(沸騰する温度)が下がり、ベーパーロックを起こしやすくなります。

したがってベーパーロックやフェードなどを起こさない為には、定期的な点検によりブレーキパッドは薄くなる前に早目に交換し、ブレーキフルードも定期的に新品に交換することが重要です。
第37号掲載
今回はごく基本的な質問です。
ブレーキやタイヤの話をするときに、よく「摩擦係数」という言葉が出ます。ブレーキで摩擦係数が高いといえば「よく効くブレーキ」、タイヤで摩擦係数が高いといえば「グリップの良いタイヤ」、というイメージに結びつくと思います。

さて、そもそも摩擦係数とはどのようなものなのでしょうか?


答え


摩擦係数とは荷重(または押付け力)に対する垂直方向の摩擦力(滑らす為に要する力)の比をあらわします。

荷重(または押付け力)をW、摩擦力(滑らす為に要する力)をF、摩擦係数をμとします。これらの関係はF=μWという式で表されます。置き換えるとμ=F/Wという式になります。

例えば、10kg(W)の重さの箱を床に置き、これを横から押して滑らせて移動させるとします。この時横から押す力が1kg(F)で動けばμ=1kg(F)/10kg(W)=0.1となり、つまり摩擦係数μは0.1となります。同様に押す力(F)が5kgで動けば摩擦係数(μ)は0.5となります。

前述のように摩擦係数は荷重に対する垂直方向の摩擦力の比として表されるものですが、ブレーキの場合、この摩擦係数は温度、湿度、速度、押付け力、ロータやドラムなどの相手材の状態、熱劣化、水や泥などの外的要因によって変化します。

摩擦材自体も常温域で最適な摩擦係数となるものや、サーキット走行などの高温域で最適な摩擦係数となるものなどがあり、用途によっては効きが甘く感じたり(摩擦係数が低くなる)することがあります。

したがってお客様の用途によって最適なパッドやライニングをお勧めするとともに、相手材となるロータやドラムのメンテナンスも必要です。
第36号掲載
よくいただくご質問に「外車はホイールがすごく汚れるけど何故ですか?」というのがあります。
これはディスクパッドに含まれるある成分が影響しています。

さてその成分とは何でしょうか?

答え


ホイール汚れに影響している主な成分は鉄(元素記号:Fe)です。

主にヨーロッパ製のクルマでホイール汚れを指摘されることが多いのですが、これはブレーキに対する考え方の違いにあります。日本や北米(アメリカ)の市場ではブレーキの負荷は比較的高くなく、またブレーキ鳴きやディスクロータの摩耗や荒れ、そしてホイールの汚れを極端に嫌います。

対してヨーロッパでは、アウトバーンに代表されるように非常に高い速度(200q/h以上)から何かあった際にフルブレーキを掛けても、停止するまでしっかりブレーキが効くことを要求されます。反面、ブレーキ鳴きやホイール汚れ、ディスクロータの摩耗や荒れなどに対しては寛容です。

高い速度からフルブレーキを掛ければ、ブレーキの温度が非常に高温になります。高温になると、ディスクパッドを固めているフェノール樹脂という成分が分解を始めガスが発生します。この発生したガスがディスクパッドとディスクロータの間に介在すると、ディスクパッドがディスクロータから浮いたような状態になりブレーキの効きが下がります。これがいわゆる「フェード」と呼ばれる現象です。

ヨーロッパの車両ではディスクパッドに鉄を配合(約50〜60%程度)することにより、フェード状態になってもこの鉄がディスクロータにしっかり食い付くことによって、停止までしっかり効きを確保するようにしています。

しかし鉄と鉄を擦り合わせている為に、ディスクロータはどんどん削られてしまい、この削られたディスクロータの鉄粉がホイールに付着しホイール汚れになります。同時にディスクロータも荒れてしまいます。また摩擦係数(μ:ミュー)も高い為にブレーキ鳴きも出易くなります。

前述のように日本や北米では、ヨーロッパほど高負荷なブレーキ性能は要求されず、それよりも鳴きやホイール汚れが少ないことが要求されますので、日本車や北米向けの車両のブレーキパッドにはほとんど鉄を含んでいません。

このようにブレーキパッドひとつをとっても、国や地域によって求められる性能は異なります。したがって外国車のブレーキが日本のお客様のニーズに必ずしも合致しているとは限りませんので、定期的な点検はもとより、お客様のご要望にあったブレーキパッドのご提案も必要かと思います。
第35号掲載
第34号でパッドやライニングは温度が高くなるほど摩耗が早くなる、とお伝えしました。
しかしパッドやライニングを早く摩耗させてしまう原因には、温度以外にも実はいろいろものがあります。

さて、どんな原因があると思いますか?

答え


錆による摩耗
クルマをしばらく乗っていなかったり、雨が降ったり洗車してホイール周りに水が掛かった後などは、ディスクロータの表面にうっすらと錆が発生しているのを見たことがあると思います。鉄に生じた錆というのは、パッドやライニングに比べて固いために、ブレーキを掛けた時にこの錆によってパッドやライニングがガリガリと削られてしまいます。特に雪の多く降る地域で融雪材として散布される塩化カルシウムなどはロータやドラムを激しく錆びさせてしまうため、パッドやライニングはより摩耗しやすくなってしまいます。
泥跳ねなどによる摩耗
走行時には路面のホコリや泥、砂などさまざまなものが撒き上がります。これらはクルマ下面の空気の流れや、左輪であれば右輪から、後輪であれば前輪からの撒き上げによって、特にディスクロータの車体内側の面(インナ面)に付着しやすくなります。これらはヤスリの様な作用をするためにパッドやライニングを摩耗させてしまいます。ディスクブレーキパッドの摩耗を知らせる為のウェアインジケータが、車体内側の面(インナ面)側に装着されているのはこのような理由によります。


パッドやライニングの摩耗はこのように走行頻度や環境などの影響も受けますので、交換時期は走行距離や期間だけで判断せず、定期的な点検により摩耗状況を確認することが大切です。
第34号掲載
ディスクブレーキやドラムブレーキといったいわゆる摩擦ブレーキは、運動エネルギーを熱エネルギーに変換してクルマを止めている、ということはご存知のことと思います。

運動エネルギーが大きいものを熱エネルギーに変換すれば高い温度になるということですね。
第27号で大きい車やスポーツカーのパッドが大きい理由は、運動エネルギーが大きいので、パッドを大きくして温度を上がりにくくしている、と掲載しました。

さて、ではそもそも温度が高くなる要因(運動エネルギーが大きくなる要素)にはどういったものがあるのでしょうか?

答え


運動エネルギーを表す式は下の式で表されます。

K = 運動エネルギー
m = 質量
v = 速度

ブレーキで考えた場合、m はブレーキを擦る力(車が重いとき、あるいは強いブレーキを掛けると大きくなる)と考えて下さい。

この式から運動エネルギー K はブレーキを擦る力 m が大きい時、そして速度vが大きい時(速い時)に大きくなることが分かります。特に速度に対しては2乗に比例することになります(速度が2倍になれば運動エネルギーは4倍になります)。

F1のブレーキは、車重が軽い(600kg程度)のでブレーキを擦る力 m は一般の乗用車と比べてもそれほど大きくないのですが、速度vが圧倒的に高いために運動エネルギーkが大きくなり、ときに1000℃以上になることもあります。(一般のクルマは通常100℃程度)。

また一般公道での事例として、箱根ターンパイクのような高い速度の出易い長い下り坂で、ブレーキはカーブの手前で軽くしか掛けていないのに、料金所で止まったらブレーキから煙が出た、ということがありました。これは速度が高かったためにブレーキが負荷する運動エネルギーがドライバーが思っていた以上に大きく、ブレーキの温度が上がり過ぎてしまったためです。

パッドやライニングは温度が高くなるほど摩耗が早くなります。坂道の多い地域やスピードを出す人、常に荷物を多く積んでいる人は、このような理由からパッドの摩耗も早くなりますので、使用状況を加味した定期的な点検・交換が必要です。


第33号掲載
乗用車のフロントブレーキは、ほぼ全てと言って良いほどディスクブレーキが普及しました。そのような状況でもリヤブレーキにはドラムブレーキが多く採用されています。ドラムブレーキはライニングの摩擦係数のちょっとした変化で効きが大きく変化してしまう事がありますが、それでもドラムブレーキにはディスクブレーキには無いドラムブレーキなりの大きなメリットがいろいろとあります。

さて、ドラムブレーキのメリットはどのようなものがあるでしょうか?
いくつ思いつきますか?

答え


小さな入力で大きな効きを出せる
ドラムブレーキはシューがドラムに巻き込まれる力(自己倍力作用)が生じ、ホイールシリンダからの入力以上の力でシューをドラムに押し付けるので大きな効きが出せます。強力な効きの必要なトラックがドラムブレーキを採用しているのはその理由によるものです。逆に言えばディスクブレーキと同等の効きをドラムブレーキで出そうとするならば、ディスクブレーキよりも小さいサイズに出来るので、小型・軽量化が出来ます。よって軽自動車やコンパクトカークラスはリヤにドラムブレーキが多く採用されています。
パーキングブレーキの機構を組込みやすい
ディスクブレーキにパーキング機構を組込むと複雑な部品を内蔵しなければならずコストが掛ります(ビルドインディスク)。あるいはパーキング専用のドラムブレーキ(ドラムインディスクと呼ばれています)を別に設ける必要があり、これもコストが掛ります。
比較的低コストで製作できる
ドラムブレーキは多くの構成部品が低コストで製作できる板金部品(鉄板をプレス加工や溶接で成型した部品)なので、低コストで製作できます。

その他にもライニング面積を大きく取れるので摩耗に有利、ライニング摺動面がドラムに覆われているので泥濘などの付着による効き不足などが起きにくい、などのメリットがあります。

ブレーキはクルマの種類や用途、コスト、ユーザーニーズ等からそのクルマに最適な物が装着されています。
ただしディスクブレーキもドラムブレーキも本来の性能を維持する為には、やはり定期的なメンテナンスが不可欠です。
第32号掲載
ドライバーの方がブレーキを掛けた時にフィーリングとして感じるものは、車両が減速する「効き感」と、ブレーキペダルの「踏み応え感」だと思います。

効き感はディスクパッドやブレーキライニングの摩擦係数で調整していますが、踏み応え感はどのようにして調整しているのでしょうか?

答え


踏み応え感は主にブレーキペダルのストローク量に影響されますが、そのブレーキペダルのストローク量はディスクブレーキであればディスクロータとパッドとの隙間、ドラムブレーキであればドラムとライニングとの隙間によってある程度決まってきます。

ディスクロータとパッドの隙間はキャリパ内のピストンの液圧が抜けた際の戻り量によって決まり、この戻り量はピストンシールが収まっているシール溝端部の面取り形状によってチューニングします。

ドラムブレーキではオートアジャスタのアジャスタギヤと呼ばれる歯車状の部品の歯数によって、ドラムとライニングの隙間をチューニングします。

これらの隙間は、狭ければ狭いほどブレーキペダルのストロークは短くなり、ドライバーのフィーリングとしてはカチッとしたいわゆる「剛性感」のあるフィーリングになりますが、反面、引摺りやジャダーにつながる危険があります。

雑誌のインプレッションなどで「この車はブレーキの剛性が低い!」などと評価されることがありますが、ディスクキャリパに高い液圧が入った際の変形量(剛性)は、どの車でもそれほどの差は無く、ブレーキが効き始めるまでのペダルストローク量とパッドやライニングの摩擦係数のバランスによってその様に感じているものと思われます。

ブレーキは効き感、踏み応え感、それに引摺りによる燃費への影響、ジャダーへの影響など、さまざまな要件を満たすような最適なバランスを目指して開発しています。

したがってブレーキは安全性のみならず、良好なフィーリングを維持する為にも、定期的なメンテナンスが必要です。
第31号掲載
車を整備する際に確認するサービスマニュアルですが、よく見るとエンジンから足回り、そしてブレーキにもグリースやオイルを塗布する指示があり、その油脂類には細かい規定があることはご存知のことと思います。
いっそのこと1種類に統一してくれれば楽なのに・・・と思っている方も多いと思いますが、なかなかそうはいかないのです。

そこで問題です。
色々な油脂類が使い分けられている理由は何でしょうか?

答え


油脂類を使用する目的は、大きくは下記3点です。

1. 滑りを良くする
2. 防水性を確保する
3. 錆を防止する

然しながら使用される箇所は様々で、その環境もまた様々です。
高温に耐えなければならない、風雨に晒されても流れ落ちてはならない、同じ環境に混在するオイルなどに溶けなければならない、逆に溶けてはならない、金属を腐食させてはならない、ゴムを劣化や膨潤させてはならない・・・などです。

ブレーキにはEPDM(エチレンプロピレンゴム)というゴムが使われており、ブレーキ周りに使用するグリースや組付け油にはこのゴムを侵さない性質が要求されます。

このEPDMというゴム、実はエンジンオイルやATF、ガソリン、灯油といった鉱物油との相性が非常に悪く、鉱物油に漬け込むと僅か数十分で体積が1.5〜2倍くらいに膨潤してしまいます。
またパーツクリーナーやブレーキクリーナーも石油系溶剤(鉱物油系)のものが多く、EPDMを侵してしまいます。
よってパーツクリーナーやブレーキクリーナーをブレーキ周りに使用したら、すぐにエアブローなどして早く乾かすようにしましょう。

以上のように油脂類は使用環境によって使い分けられていますので、不具合を出さない為には必ずサービスマニュアルに指示された油脂(あるいは相当品)を使用しましょう!

またゴムは時間と共に劣化しますので、ブレーキパッドの点検と同様に定期的なチェックが必要です。